守る。
守る。
ということ。
人は人と接することによって支え合って生きている。
でも互いに「相手が支えてくれるべき」と甘えていると
それは不安定で、継続することによってただ摩耗し合うだけ。
『自由の国アメリカ』
それは「好きなことを好き勝手にやっていい」ということではない。
「自分のことは自分で守る」という意味だ。
・危険な場所へは近づかない。
ミシガンに来て景色の美しさに圧倒された。
水場の周囲に柵がないこと。
道路にガードレールがないこと。
無数の案内看板がないこと。
崖にさえ標識はないこと。
日本でなら「危ない」と騒がれるかもしれない。
雪解けの頃、お父さんに連れられた小さな女の子が池のほとりで遊んでいた。
そこは薄氷。危ないから近寄っちゃダメ!そういって遠ざけられそうなものを
興味津々に水場に近づく子供をお父さんは黙って見ている。
クシャッ
キャー
氷が割れて女の子がドロドロの岸に尻餅をついた。
お父さんはかけよって、「分かったかい?氷はいつ割れてもおかしくないんだよ、
水を触ってご覧?すごく冷たいだろ?ここに落ちたら死んでしまうこともあるんだ。
水場が近くは水が見えなくても、この下にたくさんの水を貯えているから
大丈夫だと思っても危険なんだよ。」
そういって、岸の土を踏んで見せ、グズグズと長靴が潜る様子を見せていた。
Oh!!!
突然お父さんの足から長靴が脱げ、お父さんも尻餅をついた。
若干演技っぽい気がした(笑)
「どうしたの?ダディ」
「泥に足を取られて歩けなくなったんだ」
「危ないね」
たぶん、この女の子が安易に水場に近づくことはないだろう。
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以前、庭のバラで遊ぶ子供に注意をしないで、刺が刺さってから
そのトゲの抜き方を教えているという話しをしたが、
人間生きている以上、危険なことはどこにでも潜んでいるもので
一生怪我も事故もしないで人生を終えられる人なんていないと思う。
でも、身に迫る危険を回避できるかどうかは、小さい頃から身につけた
様々な感覚や経験に大きく左右されるのではないでしょうか?
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危ないから触っちゃダメよ。
ではなく、危なくない取り扱い方を教えた方がいいよね。
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・食べ物の安全は自分で確かめる。
食べ物に関しても同じこと。
賞味期限だけを信じてものを選んでいるとしたら、そんな危険なことはない。
もし、仮に1日で傷み始める野菜と、1週間経っても元気な野菜。
あなたならどちらを選びますか?
単純に、後者の方が新鮮だったということも考えられますが
もしかしたら萎れにくいように改良されているかもしれませんし
薬物が使われているかもしれません。
だからといって、前者を選んでも、買った日に使い切るとは限らないので
ムダになってしまうかもしれない。
自分が望むことすべてが手に入るわけではないから
ある程度割り切ることも必要だけれど、どちらが本当に新鮮で
おいしい野菜なのか?植えられた状態や本当に新鮮なものを
知っていれば、ある程度見分けがつくと思うのです。
そういった知識を持つことも自分を守ることになります。
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この国では、本当に困った時に、自分のことを置いて助けてくれる人はいない
という考え方を持つ人もいて「自分のことは自分で守る」と言う言葉を耳にします。
だけれど同時に、「自分を自分で守れない人には手を差し出さなければならない」
とも言われます。
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日本は自分は守られていて当然という空気を感じます。
島国で穏やかな人柄の人種であるからかもしれません。
荷物は翌日配達が当然。
買うものは新品で無傷が当然。
お金を払うから良いサービスを受けて当然。
安くてそこそこ良いものであるのは当然。
お互いを追いつめて、生きるのが苦しい国だなと思います。
なんでも当たり前だと思うのをやめて、
自分で考え、自分で行動することで、もしかしたら誰かにやさしく
接することができるかもしれない。
誰かを守ることができるかもしれない。
他人から自分が守られることを押し付けなければ、強くなれるかもしれない。
そうしたら、
そうしたら、苦しみから解放されるかもしれない。
いろんなことがいい加減で、合理的なアメリカ。
でも「自分のことを自分で守れば」快適な国。